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    <subtitle>たったひとりぼっちの余生を綴る</subtitle>
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    <title>人参</title>
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    <published>2008-11-14T10:47:17Z</published>
    <updated>2008-11-14T10:47:36Z</updated>
    
    <summary> 「ベランダ」 布団を剥がすと、肩の辺りがカンと冷え、 脆い朝日が漏れる方へヨチ...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/18803001_667313342.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/18803001_667313342.html','popup','width=490,height=640,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/18803001_667313342-thumb.jpg" width="344" height="450" alt="" /></a>



「ベランダ」

布団を剥がすと、肩の辺りがカンと冷え、
脆い朝日が漏れる方へヨチヨチ歩み寄ると、
ベランダにヨボヨボになった人参が3本落ちていました。

私は、その場に泣き崩れました。



「オオバコ」

すっかり寒くなりました。
あぜ道から見えるお墓群もすっかり澄んで景色と淡く同色化し、
ひんやりと冷やっこくなった無機質色の墓石が、
どこの影かわかりもしない影に隠れてしまいます。

つるつるした墓石は、やっぱり冷やっこいのかしら。

茶色くなったオオバコの束だけが、
冷やっこい墓石の私が手を乗せた、その脇に小さく積んでありました。



「苗」

春だから、私は苗とプランターを買って家に帰ってきました。
家庭菜園をしようと人参の苗を買って帰ってきたのです。
人参の、ひょろんとした茎はずいぶんかわいい。
尖ってても、肌に当たると、くねんと曲がって、痛くないんですもの。


「冷たい窓」

淡く澄んだ空気とは正反対に、窓ガラスは白く曇ります。
キンと冷えた空気で、すっかり脆くなったガラスに、
重くなった頭を寄りかけ、ホッペをそっと吸着させます。

急激な人肌のぬくもりで、バリンと割れた冷たいガラスが、
バラバラと足下に落ちてゆきます。


足の小指から流れる血は、割れたガラスのせいかしら。

猫にかじられた。



「人参」

カラスすらほじくり返すだけで口にもせず、
子のように丹誠込めて育てた人参すらも、
私はヨボヨボに萎んだものしか作る事が出来ず、
涙目をこすった手さえも、
皮膚が乾燥し白くカチカチになって逆立ち、
むくんで腫れ上がった目の隈をジョリンと削って、
痛い。涙が止まりません。

朝から頭が重い。
窓ガラスの冷やっこさで、
左の耳たぶまですっかり冷えきった頭を離すと、
昨日揃えたはずの前髪も、すっかり乱れて、
白い窓の真ん中に残っていました。]]>
        
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    <title>帰路</title>
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    <published>2008-10-08T23:00:13Z</published>
    <updated>2008-10-08T23:48:07Z</updated>
    
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B8%B0%E8%B7%AF.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B8%B0%E8%B7%AF.html','popup','width=800,height=601,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B8%B0%E8%B7%AF-thumb.jpg" width="400" height="300" alt="" /></a>


<Br>
青い空がまだスコンと抜けた時間帯に、
私は家に急いで向かうのでした。

右手にもう穂がふくれ始めた稲畑が広がるあぜ道を、
ひとりそそくさと歩いていると、
彼岸花を手にした、大きな赤いランドセルを背負った半ズボンの少年が、
互いに石ころを蹴り合いこちらへ向かって帰宅していました。

小太りの方の少年がエイと大きく蹴った石ころが大きく軌道を外れ、
私の靴にゴスンと当たりました。

私は知らないふりをして帰路を急ぎました。


　　6体並ぶ地蔵の周りににょきにょき伸びる彼岸花が
　　青い土手にいくらでも生えているので
　　欲張って大きなものを5本手折って
　　母にプレゼントしました。

　　縁起でもないとポキンと折って捨てられてしまいました。

　　家に持ち帰れば火事になるというあの華は、幼い私にもまるで
　　細く先をくるりと巻いた赤い花弁が、
　　伴大納言絵巻の業火のような恐ろしい火の描写に見え、
　　ポキンと折って出る汁も汚らわしく、
　　二度と手で触れるたくなくっちゃって、
　　群れを見つけると、足をブンブン振り回して
　　ゴム靴でポキンポキンと退治してやるのでした。

<Br>

路の脇に、何重にも、腰の辺りまで積まれた何列にも瓦が並ぶその上に、
鮎次郎がおりました。


　　同級生が女の子二人しかいなかった私には、
　　サッカーや野球などのボール遊びなど夢の又夢で、
　　毎日作業的におままごとを済ますのでした。
　　仕事から帰ったおとうさんにAちゃんが差し出してくれた、
　　お椀一杯に盛られた一輪の多きな彼岸花に、
　　私はギョッとしながら、火の不幸が決定してしまったこの家庭に、
　　大黒柱として責任を感じながら、
　　おかあさんが出してくれた、何かわからない食べ物を
　　おいしくいただくふりをするのでした。

瓦の上の鮎次郎には（なんと）連れ合いがおり、
メス猫と大人しくピタリくっついて黄昏れていたのですが、
私が突っ立って眺めていることに気がつくと、
ナーンと瓦から飛び降り走り去り、
その後をメス猫もナーンと追って行ってしまいました。

瓦の傍らに、一人残された私は澄んだ空に胸を掴まれるように突然寂しくなり、
私は知らなかったふりをして帰路を急ぎました。]]>
        
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    <title>あかり</title>
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    <published>2008-09-10T23:02:25Z</published>
    <updated>2008-09-27T00:10:39Z</updated>
    
    <summary> もう少し、どうにかなるものと思っておりました。 ただ、無力というものは、本当に...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93.html','popup','width=450,height=882,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93-thumb.jpg" width="200" height="392" alt="" /></a>

<BR>

もう少し、どうにかなるものと思っておりました。

ただ、無力というものは、本当にどうしようもなく、
そもそも、チカラと言うものが無いのですから、
這う事も、膝を立てる事も、
だまされてたみたいに、元から何もできなかったのです。

体力も、気力も、力もなく、放り出された私は、
何もできない私は、どうすれば良いのでしょうか。

<BR>

「きのこ1」
歩道の街路樹の脇で拾ったキノコが、
たった2日で、しぼんで黒くカチカチになってしまいました。

鮎次郎は食べるかしら。

<BR>

「明かり」
思い上がりで、ずんずんあるいてきたココは崖。
我がままな価値観が、とっくに突き放されていると、
どうして気がつかなかったのでしょう。
たっぷり貯めた資産は、すべて木の葉だと、
私だけが気がつかず、ずいぶん見せびらかしてしまいました。

急に恥ずかしくなり、火照って光る頬の暖かいひかりが、
私の暗い部屋から、外へもれる。


<BR>

「竹」
折々で、節を付けてやらねばいけないということがあります。
どうしても節が必要だという事があるのです。
節の無い竹は、ぐにゃりと曲がって、
頭がやがて地面に付いてしまうのです。

<BR>

「静脈」
腕でとくとくと動く、1本の静脈の筋を、
えいっと摘むと、死ぬかしら。

<BR>

「きのこ2」
疲労感と気怠さが、偽物イクラのゼリーのように、
体の皮の中に、どぷりと満タンに注射される事がよくあります。

体は、もう言う事を聞かず、
ただ倒れることも、すがむ事も、逃げる事もできず、
ただ、大きくふくれた頭だけがぼんやりしたまま宙に浮いて、
足は、地面の中にあるとも、宙にあるとも知れないのです。

<BR>

「雀」
庭で雀が死んでおりました。
痩せこけて土をかぶって、コテンと倒れておりました。
涙がポロポロで出て来たのは、
羨ましかったのです。]]>
        
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    <title>晩夏</title>
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    <published>2008-08-20T23:02:19Z</published>
    <updated>2008-09-10T23:51:01Z</updated>
    
    <summary> 『向日葵』 壁の塀から覗く私より背の高い向日葵は、 茶色くギュッと締まり、 お...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%AF%E3%81%AA2.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%AF%E3%81%AA2.html','popup','width=1570,height=1056,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%81%AF%E3%81%AA-thumb.jpg" width="300" height="201" alt="" /></a>

『向日葵』
壁の塀から覗く私より背の高い向日葵は、
茶色くギュッと締まり、
おじいちゃんの首のように筋が浮き出た、
か弱い茎をかろうじて高く高く挙げ、
種だけの顔をだらりと垂れます。
パチンと私が手を叩くと、種は全部ポロポロ落ちてしまう。

種の側に転がる蝉。太陽は西。雨がまた降る。 


<BR>

<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A72.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A72.html','popup','width=1689,height=1200,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7-thumb.jpg" width="300" height="213" alt="" /></a>

『雲』
みんなが、私を嫌って笑ってる。
胃が、キリキリ舞う。
熊手で空を掻くような言葉が、
頭を空っぽにしてゆく。
もやもやの厚い雲が低く低く降りてきて、
首まですっぽり覆ってしまう。
蹴散らしてやる。

すっかり蹴散らされたのは、私。


<BR>

<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%82%8A1.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%82%8A1.html','popup','width=1228,height=1735,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%82%8A-thumb.jpg" width="212" height="300" alt="" /></a>

『風』
暗くなり始めると、
涼しさが私の腹を撫で、
お腹がゴロゴロ言います。

おでこに汗が滲む、夕立かしら。


<BR>


<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%9C%A81.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%9C%A81.html','popup','width=1638,height=1107,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E6%9C%A8-thumb.jpg" width="300" height="202" alt="" /></a>


『猫』
窓の隙間から忍んでくる風が、
鮎次郎の鼻を触るせいか、
鮎次郎はテーブルの下に潜ってしまい、
縮こまって震えてます。
気の毒に思い、私は鮎次郎を引っぱり出して抱いてやりました。
ゴリゴリとなる手首。
歯を立て噛み付いて鮎次郎はどこかへ行ってしまう。

血　砕　ほにぇ 


<BR>


<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E4%BB%B2%E8%89%AF%E3%81%971.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E4%BB%B2%E8%89%AF%E3%81%971.html','popup','width=1467,height=991,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E4%BB%B2%E8%89%AF%E3%81%97-thumb.jpg" width="300" height="202" alt="" /></a>

『テーブル』
薄明るい台所のテーブルの上に林檎が転がる。
季節は逆なので、まだ小さい小ぶりの林檎。
仏間に添えられた、少し萎んだ林檎を取ってきて横においてやると、
なんだか気が合うみたい。

仲良しかしら。 


<BR>


<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E8%8C%84%E5%AD%901.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E8%8C%84%E5%AD%901.html','popup','width=1738,height=1218,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E8%8C%84%E5%AD%90-thumb.jpg" width="300" height="210" alt="" /></a>

『茄子』
乳母車の上に、茄子が並ぶ。
どこへとも知れぬ、持ってゆく。
作っては、作っては、運ばれてゆく。
茄子を受け取るしわしわの手。
しばらくの、おしゃべり。

大きな山の麓を、祖母が、歩く。 


<BR>


<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9C%A71.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9C%A71.html','popup','width=1488,height=1008,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9C%A7-thumb.jpg" width="300" height="203" alt="" /></a>

『霧』
雨上がりに、山の巻く白いマフラーがオシャレ。
おじいちゃんの手ぬぐいのように、かわいいんですもの。
私なんてちっともオシャレじゃありません。
かなわないんです。
柄の使い方も、スラックスの履き心地も、
手ぬぐいの結び方も。

風が吹く、流れれて、小さな繊維はチリチリに、霧が散る。 ]]>
        
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    <title>雨</title>
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    <published>2008-07-09T23:04:02Z</published>
    <updated>2008-07-13T10:08:10Z</updated>
    
    <summary> やれ、梅雨だ。やれ、夕立だ。と、 何かといいかげんな理由を付けて 毎日のように...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/6666_21.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/6666_21.html','popup','width=601,height=850,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/6666_2-thumb.jpg" width="280" height="396" alt="" /></a>




やれ、梅雨だ。やれ、夕立だ。と、
何かといいかげんな理由を付けて
毎日のようにしつこく雨が降るものですから、
足がムズムズして、痒い。

夕立で湿った靴下を引き剥がし、
ぶっきらぼうに足の裏を掻いても、
痒みの原因はまだ深く、
カカトのあたりをゴリゴリとグーでなすってみても、
コタツの角に強くなすりつけても、
骨の傍らからやってくる痒みには
足の裏の厚い皮膚が邪魔でどうしても届かず、
結局私は、痒い足をポーンと放りだして、
鮎次郎を枕に寝て耐えるのでした。


夕立で濡れた、文庫の端がふにゃふにゃに波打って固まり、
そいつのせいで、ぎゅうぎゅう詰めだった本棚から、はみ出た本が、
「えこひいき！」不幸な我が身の劣等感からか、私の前から姿を消しました。



部屋の角に積み重ねた雑誌の山の仕切りの奥で、
私に背中を向けて眠る鮎次郎に、
私は、想いやり、棚の上に隠しておいた大きなキノコを、
鼻の曲がった顔に覆いかぶせてやりました。
しばらくプルプルした後、
にゃーんと言って、鮎次郎はふらふらとそのまま外へ出てゆきました。



雨の日に、わざと部屋で体育座りをして、しとしとと雨の落ちる外を眺てると、
センチメンタルになっちゃった。



じりじりとした暑さで空気の歪む繁華街をとぼとぼ当ても歩いても、
湿気でぼんやりと滲んでしまった私の顔は、
見にくく崩れてしまっているので、誰にも気がつかれる事がありません。

立ち読みする漫画の端が、濡れた私の手の湿気を吸って波打ち、
その本をそのまま本棚に戻しても、叱ってくれる店員さんはいません。
店先に積まれた今月号のファッション雑誌を太ももに引っかけ、
ドサッと床に散らばっってしまた雑誌を「しまった」と拾う私に、
手を貸す店員さんもやはりいません。

雑誌を積み直して立ち上がり、ポカンと天井を見ていると、
虚無感が鼻にかかり、くしゃみが出たので、
そのままとぼとぼと、誰もの顔が滲んでしまった、
薄暗く霧のような雨が覆う夕暮れの繁華街をまた歩き始めました。


日陰で足を止め、ついと人気のない方に目をやると、
ビルとビルとの隙間のゴミ捨て場に、
鮎次郎にかぶせたキノコが、転がっていました。]]>
        
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    <title>小指</title>
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    <published>2008-06-11T23:00:50Z</published>
    <updated>2008-06-11T23:30:52Z</updated>
    
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「オニヤンマ（セイカ）」

応接間に続く天井の低い廊下をミシミシと、
1歩足を踏み出すたびに鳴る床を踏み、
歩く私の右手からコツンコツンと窓が鳴ります。

おや、と思い音のする方へ寄ると、
開けっ放しの窓から入ったオニヤンマがレースのカーテンに引っかかり、
目玉だらけの小さな頭をコンコンとガラスにぶつけ、もがいているのです。

思わぬ大物を手にしたラッキーボーイは、
丁寧にオニヤンマのイガイガの足をレースのカーテンから外してやり、
空のコーヒー瓶のふたを緩く絞め、
その中で縦になってカサカサいっているオニヤンマを、
頬杖付いてしばらく観察した後、そのまま外へ逃がしてやりました。


「ヤモリ（トカイ）」

日が落ちて何時間もたち、
人通りもすっかり少なくなった歩道の脇、
蚊の殲滅を呼びかける自治体のボスターが貼られた連絡版立つ、
黄色く薄汚れて入るものの、貫禄のある白く大きく長い学校の壁の中腹に、
ヤモリがピタリ。

懐かしがるわけでもなく、憎いわけでもなく、
私は足下にあった小さな小石を拾い上げ、
コツンとヤモリの脇の壁に軽くぶつけてやり、
ヤモリを逃がしてやりました。


「蚊（ヒトリグラシ）」

左手小指の第一関節の辺が、
赤く腫れ、膨れた皮膚はカチカチに固くなって、痒い。
カチカチに赤くなった第一関節を、
ぶっきらぼうにしっちゃかめっちゃかベットに擦り付けますが、
痒みは収まらず、
固い皮膚に爪をグッと何度ペケポンしても、
内から沸き上がるウズウズした痒みは、
小指に熱を帯び始め、ますます収まる気配がありません。

蚊。

カチカチの小指の小さな腫れは、
水たまりののように柔らかく変わり、広がれるだけ広がってゆきます。

ベットに擦りすぎて、赤く腫れた小指に広がってゆく青白い水たまりを、
私は右拳でぎゅっと握りしめ、
たった1匹の蚊に占領された我が部屋をトボトボ出てゆき、
蚊取り線香を求めてコンビニにゆくのでした。]]>
        
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    <title>川</title>
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    <published>2008-04-09T23:33:54Z</published>
    <updated>2008-04-14T09:59:57Z</updated>
    
    <summary> 「春」  ぽかぽか陽気に、景色もなんだか白みがかって明るい。  やんわりとした...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B7%9D.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B7%9D.html','popup','width=800,height=568,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%B7%9D-thumb.jpg" width="400" height="284" alt="" /></a>


「春」 
ぽかぽか陽気に、景色もなんだか白みがかって明るい。 
やんわりとした明るい空気が鼻にかかって、 
くしゃみが3回も出たので手がグシュグシュ、春なのね。 

暖かいので、恋でもしようかしらと、 
いつもの疲労が吸い付く重いアスファルトを、 
踏んで、踏んで、今日は白味がかった街に出ます。 

ごたごたした人ごみで見かけた、 
あら、きれいな人。 
華奢な肩にかかったグリーンのセーター。 
後ろを追いかけてみます。 

グリーンのセータは、コカコーラの自動販売機の横、 
路地に続く、細い桜が塀から覗く曲がり角を、 
短い髪をフッとふって折れたので、 
私も後ろから、こてんと折れました。 

私は、すっかり色きちがいです。 

ウソ、私は今日も部屋にいます。 


「川」 
コチンと目の前の石ころを蹴とばすと、 
向こうの石ころに当たって、2つとも、 
昨日の雨で黄土色に濁った川に落ちてゆきました。 

川底の岩に水と水がぶつかり、 
川面はどぼどぼと膨らんだり沈んだり、 
その流れの部分だけが透明で、キラキラ光っています。 

足下の毛虫草の穂を千切って、 
ぽーんと水面に放ると、 
後ろから流れてきた桜と一緒に、 
水面の淀みに吸い込まれていきました。 

桜の花びらは、渦を巻いてクルクル回っていました。 
私が放った毛虫草は、沈んだり浮いたり沈んだり・・・ 
どこかに行ってしまいました。 

「桜」 
雨にぬれてじわりとピンクに滲んだ桜は、今日、ますます赤みを増し、 
雨を吸って重くだらりと垂れた枝先が、 
いま、道を歩く私の鼻の先にあります。 


目の前の、雌しべと雄しべをこちらに向けた湿った赤い花弁を観ていると、 
何だか何も見えなくなってしまって、 
そっと花に手を伸ばしたとき、 
ワン！と後ろから犬に鳴かれ、 
私はそのまま犬に追われました。]]>
        
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    <title>雀と墓石</title>
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    <published>2008-03-12T23:08:13Z</published>
    <updated>2008-03-12T23:50:25Z</updated>
    
    <summary> 草むらの折り重なる枯れた茶色に緑が混じり始めると、 握りしめた手にも汗がじんわ...</summary>
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9B%80%E3%81%A8%E5%A2%93%E7%9F%B31.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9B%80%E3%81%A8%E5%A2%93%E7%9F%B31.html','popup','width=850,height=641,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E9%9B%80%E3%81%A8%E5%A2%93%E7%9F%B3-thumb.jpg" width="400" height="301" alt="" /></a>





草むらの折り重なる枯れた茶色に緑が混じり始めると、
握りしめた手にも汗がじんわり滲み始め、
あ、春かしらと
いつものマフラーもチクチクと毛糸が刺さって痛い、
重厚感に違和感のあるコートも手袋も、
ただの潔癖の過剰防御のように思える季節になりました。

秋の枯れたススキが高く折り重なる、
足の踏み入れ場のないような草むらに、
モーゼのようススキが避けた道があります。
その先には、墓場とも言えない墓石群が10程、
青空と、枯れたススキだけをバックにあっけらかんとあります。

1つの墓石に群がる雀は、
墓参り後に残された、お団子やら花の種やらをチュンチュンと、
学生一同大集合のごとく、押し合いへし合いつつきまわっている様子。

私には、墓石を見て思い出す人なんて1人もいないのですが、
ふだんからお世話になっている、あの人もあの人も、
いつか、みんなポイポイとこの中に入ってゆくのかと思うと、
何だかとても感心してしまって、とっても澄んだ清らかな気持ちになってしまいます。

墓石と、枯れたススキと、群という程群がる雀はよく似合う。
欲がちっともないんですもの。
押し合いへし合い、馬鹿みたいにお団子をつまんでは吐き出し、
また同じのをつまんではあさっての方向を向き、また吐き出してやがる。

私には雀になりたいと思った時期がありました。
いっそ気違いになって、楽になってしまいたかったのです。

もとい、私は素直になりたかったのです。

雀がばたばた慌てだしたので、
あっ、そろそろ帰る時間かしらと、
墓石を背にし、再びススキの裂け目に挟まれ、
その中腹程で、名残惜しく墓石の方に目をやると、
まだ冷たい墓石の後ろから、
口をモゴモゴさせた汚い野良猫がにゅっと出てきたので、
何だか涙がポロポロ出てきました。]]>
        
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    <title>微笑</title>
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    <published>2008-02-13T23:13:24Z</published>
    <updated>2008-02-13T23:59:04Z</updated>
    
    <summary> ［1］ 山にぐるぐる巻き付く螺旋状の道路、 登れば登る程、田畑も家も小さくなっ...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%BE%AE%E7%AC%91.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%BE%AE%E7%AC%91.html','popup','width=850,height=688,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%BE%AE%E7%AC%91-thumb.jpg" width="450" height="364" alt="" /></a>

［1］
山にぐるぐる巻き付く螺旋状の道路、
登れば登る程、田畑も家も小さくなって見晴らしがよく、
舗装の悪いギザギザ付きの道路に、
ポッケに入れてきた青や赤のビー玉を、
ガチンガチンと転がせば、
白い道をふらふら斜断して、すぐに絶壁、
ガードレールを潜って、次から次へとアーチを放って下の薮に落ちてゆく、
微笑、結局、それにみんな憧れてるんです。



［2］
町で出会う小動物には、思わず微笑。
にんまり笑った笑顔で振り向きます。
だって恐いんですもの。
スズメだって、小麦をつつきながらも、
虎視眈々と私の目玉を狙っているわけだし、
野ネズミだって私の足の指を爪も残さずかじるつもりで、
物陰をこそこそ飛び回っているわけだし、
バッタだって口から黒い毒を吐きます。

ただただご機嫌を損ねてしまわないように、
額に粒のような脂汗をたんまり溜めて、
真っ青な唇をがたがた震わせ、歪む口の端は微笑。
微笑なんて、みんな嘘っぱちなんです。とりつくろってるんです。



［3］
幼い頃、仏壇の奥に輝く、金色の小さなお釈迦様の微笑が、
かわいくって、かわいくって、
いやらしさも、嘘っけも何もなくて、
もうそれは雑草のようなキレイな微笑。
ぼろぞうきんの微笑、蝉の抜け殻の微笑。
掬われたいが為に、こっそり仏の間に忍び込んで、
うっとり頬に手を当て、柔らかい口の端、
ミカズキのような緩やかなアーチを描く、やさしい目を、
華奢な腕を、いつまでも、畳の間に立ちすくんで見つめる少年。


だから、私は、とっても微笑が上手になったのね。
いやらしい、モノ乞うニヤニヤ笑い、
取り繕うためのガチガチ震えた恐怖の微笑。
ただ、ビー玉を高い所から落っことした時の、
ひゅっと心臓を一瞬心臓を掴まれるような緊張、
その後の微笑だけが本物。きれいでしょ。]]>
        
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    <title>生家</title>
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    <published>2008-01-09T23:14:18Z</published>
    <updated>2008-03-12T23:46:14Z</updated>
    
    <summary> 『捨てられた野菜』 冬の田舎にゆくと、このような白菜の屑がベッタリ、 畑の野菜...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F1.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F1.html','popup','width=994,height=697,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F1-thumb.jpg" width="350" height="245" alt="" /></a>


『捨てられた野菜』

冬の田舎にゆくと、このような白菜の屑がベッタリ、
畑の野菜の芽を寒さから守るビニールシートに、
くっついて捨ててあるのを目にする事ができます。

私には、この捨てられた白菜の屑をお布団にして、
薄くて高い冬の空を眺めながら、
暖かい土の上で眠った記憶があります。

きっと、勘違いです。

しかし、右腕に乗った、腐った白菜のヌルヌルした温かさは、
まだ、右腕の皮膚が覚えており、
太ももに乗った痩せた人参の葉は、
未だに付着している気さえもし、
背中に当たる、畑の柔らかい土の暖かさは、
もう一度触れてみたい、
中毒のように未だに私は欲しています。




<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F3.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F3.html','popup','width=984,height=697,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F3-thumb.jpg" width="350" height="247" alt="" /></a>


『サンショウウオ』

私の生家近所の川、この辺りは峠の開きにできた山村で、
枕で寝ていても、カエルの声と、川の水がぶつかる音が聞こえるくらい、
静かで、上流の流々とした激しい川が流れる所。
その、川の水の溜まり、岩のゴツゴツした比較的緩やかな流れの所で、
幼い私は、いつも沢ガニを捕っては、ぽーんと川の流れの激しい所に、
投げ捨てて遊んでいました。

沢ガニは、いつも大きな岩をめくると、
粒子が細かく柔らかい砂の煙幕の中から、
スッと、伸びるように出てきます。

ある日、いつもより大きな岩をめくると、
そこにのぞいたのは、とても大きなサンショウウオ。
私はワッと驚いて、浅い水溜まりに尻餅をついてしまいました。

ポッカリとパンツまで濡れてしまったお尻は、
グジョグジョと気持ちが悪く、
私は、両手を前に、お尻を後ろに突き出し、
ヨチヨチと内股で、山の麓にどっしりと構えた、
藁葺きトタン屋根の頼もしく古めかしい生家まで、
細いあぜ道を辿って帰る事を、余儀なくされました。




<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F2.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F2.html','popup','width=992,height=692,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E5%86%99%E7%9C%9F2-thumb.jpg" width="350" height="244" alt="" /></a>


『毒』

都会の毒にずいぶんヤラレました、

イナカに帰ると、自分だけがフケツみたい、
ずいぶん不誠意実な、
ズルい男になりました、
マックロに皮肉れた根性は、
まるでマッカなドロドロ、地獄のようね、

プツッと針をサシテおくれ、
スーッと毒は抜けるかしら。
]]>
        
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    <title>王子道化</title>
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    <published>2007-12-12T23:05:58Z</published>
    <updated>2008-01-09T23:14:07Z</updated>
    
    <summary> 都会の冬はずいぶん淋しいですね。 日頃のにぎわいをひっぺはがした、 裏側が透け...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://wikiterious.com/blog/fukou/">
        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E7%8E%8B%E5%AD%90%E3%81%A8%E9%81%93%E5%8C%96.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E7%8E%8B%E5%AD%90%E3%81%A8%E9%81%93%E5%8C%96.html','popup','width=800,height=571,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E7%8E%8B%E5%AD%90%E3%81%A8%E9%81%93%E5%8C%96-thumb.jpg" width="450" height="321" alt="" /></a>


都会の冬はずいぶん淋しいですね。


日頃のにぎわいをひっぺはがした、
裏側が透けて見えているみたい、
木材の骨、合板のパネル、パネルの位置を特定するための、
汚くペンキで書きなぐられた数字の1.2.3、
そんな閑散とした光景が丸見えで、
いつもの電信柱すらヨソヨソしく、
静かに沈む薄いグレーの町並みに、
空虚なクリスマスソングが浮き足立って宙に浮き、
白い曇しかない空に、虚しく吸い込まれてゆきます。



半ズボンの少年は、
大人から見れば馬鹿なのですが、
当人にとっては、3月まで半ズボンで乗り切る事が誇りなのです。


私の通っていた小学校には、
鼻水の「ショーチー」とポーカーフェースの「トーチー」がいました。


彼らの半ズボンは私の学年ではずいぶん有名でした。
彼らは、いつ何時でも、白いブリーフがはみ出しそうなくらい、
短い短パンを、我が誇りのように見せびらかし、
また、ソレを見せつけられる私たちも、
「すいぶん寒かろう」「平手で思いっきりぶってやろうか」などと言って、
敬服し崇高するばかりでした。


雪が降った日などは、彼らは本当にスターだったのです。
真っ白い景色の中、白いブリーフをはみ出させ、
まるでどこかの王子のように、
ツンと顎を上げ、ランドセルを背負い、
裸の足はそのまま長靴の中まで伸び、
その一歩一歩踏み出す足は、ピンと伸びたときに、
そこに彼らの誇りすら感じられ、その足がそのまま、
一定のリズムを辿って、真っ白な雪に刺さってゆく、
「キレイ・・・」我々普通の小学生は、
まるで高貴なものを見るような目で、胸を弾ませるばかりでした。



バチンと誰かが、その美しい裸足に雪玉をぶつけました。
「あっ」
硬直した足に、ぶつかった雪の形に赤い模様が浮かび、
王子は寒さを思い出します。
気品を失った王子は、道化。
真っ赤に変色する足は、好奇心おう盛なちびっ子達のいいおもちゃ。
怯んだが最後、子供達に黒山のように囲まれた道化は、
その足に、もう立てなくなるくらいまで、
雪玉をぶつけられ、白い肌は惨めに肉肉しく、
赤く変色し、ぷっくり膨れ上がることしかできませんでした。


鼻水の「ショーチー」とポーカーフェースの「トーチー」。
彼らも、もう大人です。なにしてるのかしら。]]>
        
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    <title>キラキラした人生</title>
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    <published>2007-11-07T23:23:52Z</published>
    <updated>2007-11-08T00:12:04Z</updated>
    
    <summary> ヨーロッパ的な、オシャレに憧れて、 ホットケーキを、わざわざフォークを使って食...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://wikiterious.com/blog/fukou/">
        <![CDATA[<a href="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%8A%E3%82%93%E3%81%942.html" onclick="window.open('http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%8A%E3%82%93%E3%81%942.html','popup','width=750,height=660,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://wikiterious.com/blog/fukou/%E3%82%8A%E3%82%93%E3%81%942-thumb.jpg" width="350" height="308" alt="" /></a>



ヨーロッパ的な、オシャレに憧れて、
ホットケーキを、わざわざフォークを使って食べた私の歯は、
不器用に、カチンとフォークの先を勢い良く噛んでしまい、
欠けてしまいました。小学生の頃。
私は、貴族と言うよりは、汚い服を着て街角で白いパンを売る
東南アジア系の少年の方がピッタリでした。


あの頃は、私はすっかりキラキラした人生を送るものと、
庭のコケを撫でながら、勝手に確信めいたものを持っていました。
キラキラした人生とは言っても、
それは、SMAPやタモさんのようなビックスターへの憧れではなく、
白昼光のような当たり前の明るさのある、
快活な人生を勝手に想像していたのです。

しかし、いざ蓋を開けてみれば、
今の私には、ズボンのポッケからジャケっツのポッケまで
隅から隅まで丹念に探しても、
快活の欠片すら見当たらず、
日々、快活の衰退に脅え、何とか取次ぐおうと、
人の目ばかりが気になり、
縄で体をぐるぐる縛られたような、
自由な降るまいすら恐ろしい行いだと、
不便な人生を送る事となってしまったのです。

誰もから好かれる人生であれば、よかったのに。]]>
        
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    <title>鉄拳制裁</title>
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    <published>2007-10-10T23:15:37Z</published>
    <updated>2007-10-14T15:48:47Z</updated>
    
    <summary> 私は、少年時代、少女を殴りました。 殴ったと言っても、歯が抜けるほど強くぶった...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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私は、少年時代、少女を殴りました。
殴ったと言っても、歯が抜けるほど強くぶったわけではなく、
“もうっ”と肩を押した程度なのですが、
それはアキコちゃんがウサギに餌をあげるとき、
大好物のオオバコに交えて、こっそりネギを混ぜていたからです。

ウサギはネギのような刺激が強いモノを口にすると、死にます。

それを知っていた私は、アキコちゃんがオオバコにネギを混ぜている姿を目にし、
半狂乱で飛び上がり、思わず“もうっ”と押してしまったのです。
フンまみれの飼育小屋の土の上にドッテと倒れ込んだおかっぱ頭のアキコちゃんは、
三日月のような恐ろしい目で笑って、私を見上げていました。



先日、私はおじさんを殴りました。
これはもう、頬がヒリヒリするくらい強くぶちました。
それはおじさんが田んぼ脇の小川にカップラーメンの汁を捨てようとしていたからです。

そのガテン系の巨漢なおじさんは、田んぼ脇の空き地を駐車場にするため、
一人で舗装工事に取り組んでいました。
いくらおじさんがガテン系とはいえ、その空き地は小さな田んぼ一つ分もあるのですから、
1日2日で簡単に仕上げれるものではありません。
地面を平にならし、大きなタライでコンクリートの粉と水を混ぜて作り、それをムラなく広げる、
労働者の涙、それがうまくできないと、おじさんはうんと叱られるのです。

その日もおじさんは朝から、残り畳20畳分程を舗装するため、
トンボやローラーを駆使し、昨日もならした地面を、
念のため今日もならし直していました。
時間も頃合いになり、おじさんはマルちゃんのカップラーメンを食べ始めました。

常時仕事場に持ち出す、小型のガスコンロとペットボトルに入れてきた水道水で湯を沸かします。
おなかいっぱいにカップ麺を食べたおじさんは、
いつも汁の捨て場にこまり、田んぼ脇の小川にそれを捨てます。

私は、それを知っていました。だから、私はずっとこのメタセコイヤの木の陰で見張っていたのです。
この小川にはメダカが住んでいるのです。
しかしここ数日は、メダカがプカリ白くなって浮かび、水の流れが溜まった渦の中で、
クルクル泡と一緒に浮かんだり沈んだりするのを目をしていました。
すべてこのおじさんの仕業だったのです。

私はココゾと、勢いよく木の陰から飛び出し、おじさんの頬をピシャリとはたきました。
おじさんはヨロヨロし、ビシャンと小川の中に落ちてしまいました。
予想外の出来事に私は動じました。
小川でびしょびしょになったおじさんが、
うさぎのような目でコチラを見つめます。
私はもう、すっかり弱気です。おじさんはこれからビショビショのまま、
昼から厳しい労働に堪えねばいけません。全て私のせいです。
“ごめんなさい”と言えない私は、
「めがだが、しぬだろがー」とほとんど空を仰ぎながら、うわずり声で叫び、
その場を立ち去ります。

生き物は大切に。]]>
        
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    <title>つむじ風</title>
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    <published>2007-09-23T15:22:06Z</published>
    <updated>2007-09-23T19:56:23Z</updated>
    
    <summary> 特に夜なんかに街にいると、急に心が真っ暗になって、 苦しくて苦しくて、突っ伏し...</summary>
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            <category term="鮎二郎" />
    
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特に夜なんかに街にいると、急に心が真っ暗になって、
苦しくて苦しくて、突っ伏して泣いてしまう事があります。と、
世のチヤホヤされたデザイナー達が言ってくれれば、
どんなに私は救われるだろうと、思いながら近所を散歩していたら、
偶然、鮎二郎を見かけました。

普段、鮎二郎を家以外で見かけることは、
又とないのですが、偶然出会った鮎二郎は、
家の近所の神社に向かう坂の途中で、
つむじ風に巻き込まれていました。

体中にまとわりつく木の葉やホコリ、砂などに、
バシバシバシとやられながら、
何が何か分からず半狂乱に右往左往跳ね回っていた鮎二郎は、
しまい目に鼻に小石をくらい、そのまま亀の子のようにうずくまり、
つむじ風が神社の方に帰って行ったその後も、
微動だにせず、坂の中に丸まって落ちていました。
私はそれを坂の下から傍観していました。

私も、よくつむじ風には巻き込まれます。
女の子と食事に行くとき、就職面接の時、遠足の日、運動会の日、
決まってそんな大事な日に巻き込まれます。

始めは、目の前で木の葉がクルクルと回り始めるので、
ついつい面白がって駆け寄ってしまうのですが、
私が駆け寄ったとたん、木の葉が砂埃を巻き込んで大きくなり、
私はその中に閉じ込められます。
私はその間中直立し、顔面に当たりツ続ける、木の葉や小石、砂埃を目を閉じて耐え、
しばらく、巻き込まれ続けた後、
気まぐれに次へ向かうつむじ風の中から、みすぼらしくなった私が誕生します。

おかげで、デートも、就職面接も、全て失敗。
みすぼらしい人間を認める人間なんて、この21世紀の近代社会にはいません。
つむじ風を喰らった私は、みんなに捨てられます。
つむじ風は悪魔の風。鮎二郎を返しておくれ！]]>
        
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    <title>ピアノ</title>
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    <published>2007-09-16T16:55:33Z</published>
    <updated>2007-09-16T18:32:41Z</updated>
    
    <summary> 未来の人が、この時代を語る時、 未来の人は、この時代の事を何と罵るのでしょうか...</summary>
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            <category term="普通日記" />
    
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未来の人が、この時代を語る時、
未来の人は、この時代の事を何と罵るのでしょうか。
この時代に文化の発展はありません。資本主義的な文明機器の開発ばかりで、
CPUのスピードは年々上がるばかり。液晶テレビは大きくなるばかり。とってもつまらない事です。
未来の人は、この時代を何と呼ぶのでしょう・・・。

そんな事ばかり考えていたら、胃潰瘍になりました。
しばらく実家で療養しておりました。お久しぶりです。


実家には、大きなピアノがあります。
音楽室の先生が弾くようなクソ大きなものではなく、黒塗りのタンスのような形で、
土壁に背中合わせで置かれ、掛け軸の掛かった和室の居間に不自然に佇んでいます。

あの当時の母というものは、どうして、クラスの音楽会で、
ピアノ弾き係に任命される女子に、我が娘をそうしたいと願うものなのでしょう。

もう10年以上も前に、母が妹のために相当無理をして買った真っ黒なピアノ。
ピアノなどより、“リボン”や“マーガレット”に夢中の不良な妹には、ピアノの教室は長く続かず、
結局、すぐに置物になってしまいました。
ピアノには夏物は収納できません。口は悪いですが、まったくの木偶の坊です。

先日、めずらしく遠出をした時、旅先で真っ白なリコーダーを購入しました。
YAMAHA製なのですが、艶やかな乳白色が、まるで陶器みたいにお上品で頼もしく、
その美しさに思わず惚れて購入しました。
早速、近所の公園で吹いてみたのですが、上手く風のように澄ん流れる音が出ず、
結局、通りすらりのカップルに会釈され、虚しくなったのでやめました。

薄暗い明かりしか入らない和室に、花柄の模様が入った汚い布を被せられ、
もう家族にも目の端でしか見られなくなったピアノを、
私は思わず弾いてみたいと思いました。

汚くなった厚手の布を、ホコリが飛ばないようにそっと右に寄せ、
ゆっくり黒い重たい蓋を持ち上げひらいたピアノ。
中からは、とても白くて綺麗な鍵盤が歯を並べます。

公園で乳白色のリコーダーを弾いた時、
どの穴が“ド”で、どう押さえてゆけば“シ”までたどり着くのか分かりませんでした。

目の前に並ぶ、綺麗な白い鍵盤の歯達。どれが“ド”なのかしら。
この中に、“ド”が2・3個隠されている事は知っています。
黒い鍵盤はハズレの印。目印のシールは貼ってありません。
私は、勘には自信があります。
だってあの日、偶然にも私は鮎次郎と再会し、幸せになったのですもの。
私は思い切って、ちょうど真ん中の位置にある鍵盤に指を置きます。
恐る恐る、指に力を入れると、ギシッと歯が沈んだ後、トンと高くて重い、
部屋の空気全てに響くような音が鳴りました。
コレは“ミ”かしら、“ラ”かしら、私にはそれが何音かもわかりません。

試しにもう一度3つ隣の歯に指をかけギシッと押し込もうとした時、
ガラッと部屋の扉が開きました。
「何しとん？」母が全く理解できないような不思議そうな目でこちらを見つめていました。

私は、母につまらない事をしている所を見られたのがとっても恥ずかしくなり、
そのまま真っ黒なピアノの扉を閉じる事しかできませんでした。]]>
        
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